「きなり」・・・のおはなし

赤ちゃんのウェアは、最近でこそ様々なカラーのものが出ていますが、やはり多いのは白や「きなり」です。

ではこの「きなり」とはどんな色でしょうか?

一般的には薄いベージュのような肌色のような色を指しますが、一般的な他の色、例えばブルーやグレーなどとはその色の意味がちょっと違います。

というのはきなりは「生成り」と書くように、「そのままの色」というような意味で特にどの色を指しているわけではありません。なぜこのきなりという色が存在しているかといいますと、これは綿を何回か洗ったそのままの色ということを表しているからと思われます。

綿花は収穫されて何回か洗ったのち糸になり生地になっていくのですが、加工をしないと(つまり色を染めずに)、いわゆる「きなり」色として市場に出ます。ですので、一言できなり、と言っても綿花の品種やブレンド具合によって色の濃淡や光沢の違いがありますし、同じような組み合わせでも収穫された年によって色合いの違いが出ることがあります。また、綿花にはわずかな比率ですがカラードコットンという色のついた品種も栽培されていてこちらは濃い茶色や緑色ですが、厳密に言いますと加工しなければこれらも「きなり」ということになります(実際はベージュ・グリーンとしてそれぞれ流通しているとは思いますが)。

同じ「きなり」でも構成されている綿花の原料の違いで写真のように色が変わってくることもあります。

(左:スーピマコットン接結・右:吊天竺)

では、なぜ「きなり」色の商品が赤ちゃんには多いのか。

綿花の場合天然繊維ということもあり、加工を施すたびに少しではありますがやせて固くなります。大人にはほとんどわからない程度の違いなのですが、やはり比べてみるとわかると思います。赤ちゃんの場合肌が薄くて柔らかいのと、少しでもふっくらして肌に快適な方がいいということや、加工に使われる成分を減らしたいと。。ということからきなりのものが増えたのではないかと思います。

きなりといいますと、どうも古臭くて安っぽいイメージがしてしまうという方も少なからずいらっしゃいますが、育児工房ではオーガニックコットンのモデルを使用することで綿花の柔らかさを少しでも損なわないようにという考えもあって、今まではきなりをベースにしたデザインが多くなっています。ただ、一方で様々なデザインを楽しむと同時に色の違いやデザインされたものの感覚を赤ちゃんがはぐくんでいくことも大切という考えでいますので、これからは徐々にきなりのモデルとともに様々なデザインに取り組んでいけたらと思っています。

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